シェリダン・アンダーソン、田淵義雄(共著)
晶文社 (1979/2/1)
1979年はフライを初めて間もない頃であった。
芦ノ湖や本栖湖などに通い、ウェーディングでやった。モンタナマラブーやリーチを多用したが決して釣果に恵まれたわけではなかった。やがて湖から渓流へと視点が変わっていく過程で出会ったのがこの本であった。
何度も何度も読み返した、というよりも飽かずに眺めた。そう、挿絵が多くて味があって見ていても楽しいのである。田淵氏の文章を読むとフライフィッシングという大人の遊びがとても「おおらか」で、かつ奥が深く、美しい試みに思えてしかたなかった。
「宝石のようなニジマス」というタイトルのページがある。
中禅寺湖のニジマスを美しいドレッシングのフライで釣ることが書かれている。なんて的確な表現。そう確かにヒレピンのニジマスが釣れた。
情報過多で進化を続けるフライの世界。今読むと、「古き良き時代」と感じつつもその本質は何も変わらず、シンプルに楽しめばいいんだよと語りかけているように感じられる。
間違いなく我がバイブルだ。
佐藤成史氏の究極のパターンブック。ライズを釣るための、60パターン500本以上という膨大なフライパターンを惜しみなく丁寧に解説しています。
とのことだが、まさにその通り。
サイトフィッシングのためのフライを系統別に分類し、氏の解説・コメントとフライの写真が掲載されているが、そのコメントがいい。納得である。
いままで何気なく、はっきりした釣りのイメージがないままに「巻き散らしていた」フライ。それらを整理し、サイトフィッシングではこうあるべきだと示してくれるのがこの一冊だ。眺めているだけでも楽しく、タイイングへのモチベーションはかなり向上すること請け合いである。